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2−4−2 クレーンメーカー
わが国における代表的なクレーン(海上起重機)メーカーとしては、?叶_戸製鋼所、?慨KK(旧四国建機)、石川島播磨重工業?梶A住友重機械工業?鞄凾ェあげられる。ちなみに、これらメーカーのクレーン工場の所在地は、神戸製鋼所が兵庫県高砂市、SKKが香川県多度津町、IHIが兵庫県相生市・住友重機械か愛媛県新居浜市にあり、瀬戸内地域における起重機船建造シェアの高さは、その付近に大手クレーンメーカーが存在するためによる点も重要な要因となっている。クレーンメーカーと造船所が同一地域内にあることで、地の利の強みを発揮し、全国でトップシェアの『作業船産地』を形成しているわけである。
前掲のヒアリングからは、道内海洋土木事業者が起重機船の建造を検討する場合、まずクレーンメーカーや代理店に接触することか多いことが確認された。北海道におけるクレーンメーカーの受注経路は、商社や代理店を経由することが一般的であり、各クレーンメーカーごとに独自のルートを持っている。
起重機船を新造する場合、『まずクレーンありき』との考え方をする海洋土木事業者が多いように、今後の道内作業船市場への参入、とりわけ起重機船を考える際に、これら大手クレーンメーカーとの協調的な関係づくりが、道内造船所にとって重要な課題であることが指摘できる。なぜなら、クレーンメーカーからの台船部の分割発注の際の受注確保の取り込みにつながるからである。
そして最終的には、クレーンの道内搭載を含めた起重機船の建造を視野に入れる必要がある。クレーンの道内搭載は、価格競争力の向上や納期短縮に寄与することから、今後積極的に取り組んでいく必要があると考えられるためである。
今後、道内における起重機船建造、特に起重機の道内搭載を志向する場合の、クレーンメーカーサイドからみた課題に関して紹介する。
現在、兵庫県内の造船所が作業船新造、とりわけ起重機船分野でトップシェアを保持しているのは、近場にクレーンメーカー工場を有し、クレーン搭載にかかる回航費の節約という地の利の強みか作用していることも一つの大きな要因である。今後の道内における作業船分野への取り組みとして、一つの到達点として目指すべき方向としては、クレーンの道内搭載も含めた起重機船の建造が考えられるが、北海道と瀬戸内地域には距離的な隔たりが大きく、道内搭載に係る問題点・課題として想定される事象も多い。各クレーンメーカーからのヒアリングから、それら問題点・課題としてあげられる主だった点をまとめると、以下のようになる。
道内搭載の課題
・クレーンの輸送と組立
・クレーンを設置するタレットペース面の加工
・労働基準監督局の検査
まず、道内搭載の課題としてクレーンの輸送と組立があげられる。これに関しては、クレーンをガントリー(桁)、本体、ジブの3分割程度にすれば499総トン程度の貨物船で輸送可能との見解が得られた。この場合、ごく大雑把な数字ではあるが、道内で搭載するためのクレーンの輸送は500万円程度(その他、クレーンメーカーからの専門スタッフ派遣費用等の付帯費用が発生する)であると考えられる。搭載に際して最低限必要なものとしては、本体の吊り上げ用の治具程度であり、特殊な工具等は不要とのことである。しかし、現地搭載においては、

 

 

 

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